健康マイレージ制度とデータヘルス計画について ~保健福祉委員会~

さいたま市議会2月定例会、保健福祉委員会において議案外質問を行いました。質疑の要旨について、ご報告させて頂きます。

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●市民の健康づくりについて

超高齢化社会の到来や生活習慣病の増加に伴って、介護費・医療費の高騰が社会問題となってきています。将来的な医療・介護費の抑制に向けて、また何よりも、市民の皆様がいつまでも健康でいきいきと暮らしていくために、現役世代から健康づくりへの意識を高めていく方策は極めて重要との観点から、市民の健康づくりをテーマに取り上げました。

公明党は、これまで議会質問や予算要望でスマートフォン等のICTを活用した市民の健康づくりを応援する取り組みについて提案してきました。それは、現役世代では、意識は持ちつつも様々な理由や制約から、食事の改善や運動など、具体的な行動に移せない方々も多くいることから、手軽に・楽しく・習慣化できるように、身近に取り組める健康づくりに向けた仕掛けづくりや環境整備が必要と考えているからです。

さいたま市では、26~27年度の2年間、「歩くこと」を中心とした健幸サポート事業を実施しています。この事業成果を、次年度より本格的にスタートする「健康マイレージ制度」に繋げていく計画となっていることから、これまでの取り組みと進捗状況などについて質疑を行いました。

Q:健康意識の把握はどのように?

A:24年度の市民意識調査の結果から他の年代と比較して運動習慣のある人の割合が少ない現役世代を対象にモデル事業を実施した。

Q:健康意識醸成への取り組み状況は?

A:2年間の健幸サポート事業の事業成果として、現役世代の人が、1日1時間以上「歩く」人の割合が23%~42%へ約20%増加した。(サンプル数600人)また、「さいたま市食育・健康なび」による食事やウォーキング情報の発信、商工会議所の機関紙において情報を発信している。

Q:健康マイレージ制度への反映は?また、現役世代の多くの方に参加してもらうための工夫は?

A:健康マイレージ制度は、通信機能付き歩数計やスマートフォンのアプリの活用によって蓄積した歩数や各種検診の受診に対してポイントを付与する。ポイントは抽選で景品等の特典を受けられる仕組みとしている。歩数や測定結果は、専用サイトを利用して自分の体の状態を可視化できるよう準備を進めている。対象者は、運動習慣の少ない働き盛り世代である20歳~64歳の市民および市内事業所に在勤する方を対象としている。市民・市内事業者への周知が重要であり、健康保険協会の協力を得ながら周知していくことや直接市内事業所へ訪問して説明会も実施し、31年度に50,000人の参加者達成を目指していきたい。

●データヘルス計画策定について

健康診断やレセプトのデータを活用して、保険加入者の健康増進を図るデータヘルスへの期待が高まっています。データヘルスでは、健診データや医療機関への受診履歴から、生活習慣病の受診を一定期間放置している患者を特定し、保健師による個別指導などを通して重症化を防ぐことができることや、患者に処方されている治療薬が分かれば、新薬よりも安いジェネリック医薬品に置き換え、医療費の節約ができるなど、多くの利点があります。

公明党は、こうした医療費の抑制や効果的・効率的な保険事業を実施していくことができるデータヘルスの推進に積極的に取り組むべきとの立場から、これまで本会議や当委員会に於いて質問を繰り返し行ってきました。そこで、データヘルス計画の進捗状況や今後の展開などについて質しました。

Q:計画策定の狙いと現在の進捗状況、また策定過程で見えてきた本市における課題や特徴は?

A:検診データ・レセプトデータを用いて分析し、医療状況の傾向を的確に捉え、効果的・効率的な保健事業を実施することを目的として、28年3月の策定に向け取り組んでいる。本市の課題としては、生活習慣病に係る医療費と患者数が高い割合を占めており、医療費増加の一因となっていることが確認できた。また、糖尿病の指標となる数値が全国・県平均よりも上回っている。

Q:計画の概要は?(期間・目標の設定など)

A:計画期間は、平成28年度~2年間。目標は、生活習慣病重症化予防及び医療費の適正化が重要・緊急課題であり、その解決に向けて取り組む。

Q:費用対効果の高い事業から実施していくと思うが、どのような事業を実施していく考えか?

A:生活習慣病重症化予防対策事業の実施医療機関及び対象人数を倍増し、治療が必要なのに医療機関にかかっていないなど糖尿病が重症化するリスクの高い方を医療に結び付けていく。また、糖尿病性腎症で通院する患者のうち重症化するリスクの高い方への生活改善を行い、人工透析への移行防止をさらに充実していく。医療費の適正化の課題は、ジェネリック医薬品の使用割合が51.7%にとどまり県平均より下回っている。ジェネリック医薬品差額通知事業も送付件数を増やし、ジェネリック医薬品への切り替えを促すことで薬剤費の軽減を図っていきたい。

Q:糖尿病等の生活習慣病重症化予防対策事業、ジェネリック医薬品差額通知事業のこれまでの事業成果は?

A:生活習慣病重症化予防対策事業では、平成27年度49名に生活指導を実施。症状が維持され人工透析への移行が防げた場合の効果を算定すると約2億円の効果が期待される。ジェネリック医薬品差額通知事業は、平成26年度、27年度で各4,000万円の効果額。28年度は、8,500万円の効果を見込んでいる。

Q:特定健診の受診率向上に向けた取り組みについての考えは?

A:これまでの早期受診キャンペーンに加えて、40代・50代で一度も特定検診を受診していない人が多い傾向がある。そのため、特定健診を初めて受診する方に何か効果を与えるような事業を展開していきたい。

詳細については、後日さいたま市議会のHPにて議事録が閲覧できます。