高齢者の見守り体制〜京都市の取り組み〜

京都市は、市内に一人で暮らす65歳以上の高齢者宅を専門職員が全戸訪問する事業を政令指定都市として初めて導入し、7/2〜訪問がスタートしています。

医療、行政サービスの面で早期にケアすることで、全国的な問題となっている「孤立死」を未然に防ぐことが狙いです。

具体的には、市内61箇所の高齢サポート(地域包括支援センター)の職員である、保健師、社会福祉士、主任介護施設専門員のいづれか1人を増員し、268名体制で、対象者70,738人を来年3月末までに訪問するというもの。2012年度の当初予算で、3億3500万円を計上しております。

訪問では、日常生活での困り事や悩み事の相談に応じるほか、一人ひとりの心身の状況を確かめ、かかりつけの医師や緊急連絡先なども確認します。支援が必要な状況かどうかも把握し、必要な場合は介護サービスの利用など、提供可能なサービスを紹介するというものです。

近年、地域の自治会への未加入世帯が増加していることや、新築されるマンションに自治会組織がない場合なども増えています。このような現状から、市報など行政が行っている事業や町内会の集まりなどの情報が届かず、孤立化してしまうケースも増えていると考えられます。いわゆる「お隣さん」の顔すら分からない状況が年々広がっていることが心配です。

「高齢者の見守り体制を今後どうやって強化していくか。」は、急速に進む高齢化社会において、大きな課題と考えています。さいたま市においても見守り相談員や生活支援サポーター制度など、地域との協働の中で、この課題に対して事業展開を進めておりますが、現場の感覚と少しズレているように感じています。

京都市の取り組みのように、積極的に社会的な課題に対して行政が動く(職員が体を動かし汗をかいていく。)ことは、とても大事です。現場に入っていくことで、新たな課題が見つかることや実際に行っている行政サービスの効果検証もできます。

しっかりとした行政サービスが現場の末端まで届くようにするためには、現場の声を聴くことが一番です。この意味で、京都市の積極的な取り組みに、強い関心を持ちました。本事業の成果がとても楽しみです。機会をつくって事業成果について調査して、さいたま市でどのように活用できるか研究していきたいと感じました。