動物愛護基金について 〜尼崎市の取り組みに学ぶ〜

8/28、兵庫県の尼崎市で取り組んでいる「尼崎市動物愛護基金」の調査に行って参りました。

尼崎市では、野良猫への不妊手術運動が活発な反面、資金不足が生じておりました。市は、毎年100万円の助成費を計上しておりましたが、現場で不妊運動に携わる「ホームレス猫 不妊運動ネットワーク」(略称:CON)によると、年間500件前後の手術を実施しており、費用の不足分は会員が負担している現状でした。

そこで、安定的な財源確保へ向けて、動物愛護を目的とした「寄付金募集」の実施と「基金」創設の2点を市議会公明党の提案として強く要望しておりました。その結果、昨年度より寄付金募集が実現致しましたが、基金の創設には市が動かなかった為、昨年の6月議会で議員提案による「動物愛護基金条例」を提出。全会派一致で可決したことによってスタート致しました。

調査では、市の担当職員から制度の概要と効果についてヒアリングを行った後、条例提案者である仙波議員とボランティア団体(CON)の代表者より条例制定に至るまでのお話や課題などについて教えて頂きました。

特徴的なのは、寄付金の使途を特定(①野良猫不妊手術費用一部助成の積み増し。②犬・ねこの適正飼育に係る普及啓発の取り組み。③犬・ねこの殺処分ゼロを目指すための取り組み。)していることです。

平成24年度の実績としては、133件の申込(約645万円を受入)、平成25年度は4/1〜8/28までの段階で21件の申込(約56万円を受入)となっています。

殺処分ゼロへの取り組みとしては、犬・ねこ、共に入ってくる数を減らすことが重要です。犬はブリーダーからの持ち込みが多くありましたが、是正指導などによって年間50頭ぐらいまで減少しております。頭数が減少できたことによって、預かり期間を長期間とることができるようになり、1頭ごとに細かな対策(トリミング等)が可能となり、殺処分が格段に減少しています。ねこは、入口対策として去勢手術が最も有効で、平成19年度より実施している野良猫不妊手術費用の一部助成を開始してから年々減り続けており、効果を上げていることが確認できました。

私も、地域で訪問活動をしていると犬やねこなどを飼われている方が非常に増えていると実感しています。今やペットは家族の一員ともいえるかけがえのない存在となっております。一方で、動物愛護センターには多くの犬、ねこが持ち込まれる悲しい現状もあります。「殺処分ゼロ」「人と動物が共生できる社会」を目指し、動物愛護行政の更なる推進に取り組んでいきたいと思います。