高次脳機能障害者への支援について

関係機関とのネットワークづくりと当事者・家族を対象としたハンドブックの作成を!

これまで、私が議会で提案してきた高次脳機能障がい者支援センターが今年度5月より開設となった。「高次脳障害」の名前を冠したセンターが設置され、専門的な職員4名が配置されたことによって、同障害の認知度が向上し、これまで埋もれてしまっていた当事者や家族が相談しやすい環境ができたことを評価している。

2019年5月に開設した高次脳機能障がい者支援センター

一方で、高次脳障害は、外見からはわかりづらく、記憶障害、行動情緒障害、注意障害、遂行機能障害など、様々な症状があることや、症状に見合ったリハビリの実施が困難となっていること、必要なサービスへの動機づけが困難となる等、支援に繋ぐまでにも多くの課題を抱える現状がある。

手帳の交付や年金の受給に必要となる医師の診断書を交付してもらう場合でも、急性期に診断した医師では診断書が書けないケースが多く、支援の入り口に辿り着くことも容易ではない。相談者が適切な支援が受けられるように、身近な支援機関である医療機関や障害福祉サービス事業所、介護保険事業所等にしっかりと繋がって切れ目のない支援ができるネットワークづくりが重要。

まずは、支援の入口となる区役所窓口職員への諸制度の周知徹底を図り、その上でリハビリテーションや日常生活支援、就労支援等のネットワーク形成を推進し、状況に応じたサポート体制を構築して行かなければならない。

Q:センター設置後の相談件数の推移と現状の対応状況、並びに相談内容の傾向は?

Q:関係機関とのネットワーク形成へ、どのような取組みを行っているのか?

Q:最後に、高次脳障害の理解を深めることや、相談窓口・各種行政サービス・サポートネットワーク事業者の一覧や、各種手続きの方法等を記載したハンドブックを作成し、当事者や家族が困らないようご検討頂がどうか?

【答弁要旨】

A:相談件数の推移は、センターを設置した今年5月から10月までの半年で、新規100件、延べ1066件となっており、前年同時期と比較して新規76件、延べ439件増加している。相談内容の傾向としては、福祉サービスの利用や症状の理解に関することをはじめ、医療や診断、家族の対応方法の相談、就労や社会参加等、多岐にわたっている。対応として、個々の症状に応じた対応方法の提案、医療機関や制度等の情報提供及びその利用手続きの同行支援など個々の状況に応じた支援を実施している。

A:関係機関とのネットワークづくりでは、医療機関や障害福祉サービス事業所等を対象とした「高次脳機能障がい者支援に関する座談会」、専門の医師を招いて実施している「事例検討会」を開催し、支援に携わる支援者が定期的に集い、情報交換や相互に学びあう機会をつくり、顔の見えるネットワークの形成に取り組んでいる。

A:ハンドブックの作成については、症状への対応、医療機関や相談窓口などを掲載する内容で現在作成中であり年度内に医療機関や区役所窓口へ配布する予定となっている。今後、提案の内容を参考にハンドブックの充実を図っていきたい。

A:今後とも、診断書の作成等に対応している医療機関の開拓や、支援の入り口となる区役所等の職員に対する諸制度の周知を進めるとともに、一人ひとりの症状に応じた支援が切れ目なく提供できるよう支援体制の強化に努めていく。