大地の芸術祭 越後妻有アート トリエンナーレ
市民生活委員会(常任委員会)の行政視察で、8/28、29の2日間、新潟県十日町市・津南町で行われている「大地の芸術祭 越後妻有アート トリエンナーレ」に行って参りました。44の国と地域から参加する作家による約360の作品が、越後妻有地域全体をミュージアムとして展示されています。
さいたま市では、昨年度12月議会で「さいたま市文化芸術創造都市条例」が可決されました。本市では、本条例を基として施策推進のため、基本方針や基本計画の策定に入っておりますが、市民生活委員会では、条例の趣旨に則り、文化政策を推進できるよう、本年末の「政策提言」に向け調査研究を実施することになっています。
7/30には、文化庁と東京文化会館(全国公立文化施設協会)を訪問して、国の基本的な政策並びに支援策や文化芸術の拠点整備などについて、ヒアリング・意見交換を行いました。
今回の調査では、先進的な取り組みをされている、新潟県十日町市で3年毎に開催され、数えて5回目の開催となる「大地の芸術祭 越後妻有アート トリエンナーレ2012」の事業概要、開催の背景、実績、波及効果、今後の課題などについてヒアリングを行いました。
◆十日町エリア拠点施設①:絵本と木の実の美術館(廃校となった小学校を活用)
人口60,000人弱の地域に、2009年の開催時には約35万人の来訪者が訪れる祭典まで発展してきています。基本理念は「人間は自然に内包される」大地の芸術祭は、地域再生の契機として、地域資源の発見と地域の知恵の学習、創る人と地元住人の協働、空間を息づかせる製作というアートがもつ力を信じて企画され、多くの若者や外国を含む他地域のボランティアなど多くの人々の協力で、今日を迎えているとのお話がありました。
◆十日町エリア拠点施設②:アジア写真映像館(廃校となった小学校を活用)
◆地域全体がミュージアム(田の中にあったバッタのオブジェ)
組織体制については、実行委員長は、十日町市長。副実行委員長は、津南町長。地元商業団体、交通、旅館組合など様々な団体から組織されています。北川フラム氏を総合ディレクターとして迎え、事業の方針、計画、作家の選定、イベント企画に対するアドバイスを頂き、総合プロデューサーには福武總一郎氏が就任し資金調達の面で全面的に協力を頂いています。
◆松代エリア拠点施設:農舞台、里山アート動物園2012など
大地の芸術祭では、作品制作は、アーティスト、住民、ボランティアが協働で行い、地域住民が作品制作に関わっていることが素晴らしいと思います。こうした形を取ることで、制作過程の中でアーティストとの交流や地域住民同士の交流、ボランティアとの交流、作品を通しての諸外国との交流を深めていくことができます。イベント開催期間後も継続して交流を深めている地域もあるようです。
◆十日町エリア拠点施設③:越後妻有里山現代美術館(キナーレ)
さいたま市においても、文化芸術創造都市「さいたま市」の情報発信として、2年毎に開催するビエンナーレ、3年毎に開催するトリエンナーレとして、『仮称さいたま国際芸術祭』を早期に開催できるように働きかけていきたいと思います。
実現の為には、総合的なプロジュースができる人材を登用すること、さいたま市の地域資源の掘り起こしを行っていくことが重要です。成功の鍵は、さいたま市のブランドを高めていくことです。どんなコンセプトをもって実施していくのかを充分に吟味していく必要があると思います。しっかりと調査・研究をして、政策提言ができるよう今後も邁進して参ります。