待機児童0へ 〜横浜市の取り組み〜
待機児童は、保育所に入所を希望しても入所できない児童のことをいいます。厚生労働省によると、2012年4月時点で全国で2万5556人が待機児童となっております。
3年前まで待機児童数が全国で最も多かった市が横浜市です。その横浜市が、今年度の4月には待機児童”0”となる見込みとなりました。3年間で劇的に待機児童が減少した横浜市の取り組みについて学んでみたいと思います。
横浜市では、2010年度より待機児童対策を市の重点政策と位置付け、新たな取り組みをはじめました。その一つが、必要な場所に保育資源を確保することです。これまで、保育施設の定員は増えても待機児童の減少に繋がらなかった反省から、人口増地域や駅の近くなど入所ニーズの高い地域に、保育所または横浜保育室(認定外保育所)、保育ママ(家庭的保育事業)などの保育資源を優先的に確保。
希望の場所に市有地が不足していた為、整備可能な民有地と保育事業者を公募し、整備を行ってきています。現在では、マンションの1室、道路の高架下、一軒家などを活用した保育資源の整備が進んでいます。さらに、幼稚園での預かり保育の実施や保育所を改修することによって定員増が図られています。
そしてもう一つの柱が、「保育コンシェルジェの設置」です。「コンシェルジェ」とは、お世話をしたり、情報を提供する人の意味です。保護者の細かな要望にお応えする為に「保育コンシェルジェ」を2011年2月に3区に設置、そして同年6月には18の全区に設置しました。
主な業務は、区役所の窓口や電話はもちろん、地域の子育て拠点に出向いて、保育を希望する保護者の相談に応じ、個別のニーズや状況を把握。その上で、その人に合った保育サービスを紹介していくことです。アフターフォローも重要な業務として捉え、入所保留となった後も、保育状況や保護者の希望を確認しながら情報を提供し続けていきます。
この保育コンシェルジェは、横浜市議会公明党の高橋議員が「多様な保育資源を組み合わせて、保護者のニーズにマッチした保育サービスを案内する保育コンシェルジェといったサービスも必要。」と議会の一般質問で必要性を訴えたことがきっかけとなって実現しています。こうした取り組みが実を結び、3年前まで待機児童数ワーストであった横浜市は、今年度待機児童数0になる見通しとなっています。
さいたま市においては、これまでも待機児童減少に向け施設整備を推進してきておりますが、必ずしも保護者のニーズにマッチした環境が整っているとは言えない現状があります。保護者のニーズと保育資源のマッチングへのこうした横浜市の取り組みには学ぶことが多くあります。他市における良い取り組みに学び、問題解決に向かっていくことが大事です。
私も、たくさんの保護者の方からご相談を頂戴しております。待機児童の解消に向けて、保護者の皆様をはじめ、事業者の皆様と知恵を出し合っていきたいと思います。