サインズ・オブ・セーフティ さいたま市児童相談所の取り組み

3/12、さいたま市児童相談所の取り組みについてのレクチャーを受けさせて頂きました。

児童相談所への通告は、年々増加しており今年度は前年同期と比較して約9ポイントも増えている現状です。

サインズ・オブ・セーフティ(SOS)とは、児童虐待事例に対応するためのケースワーク方法で、アンドリュー・タネル氏が、西オーストラリア州の現場のワーカーと一緒に、使ってみて効果のあった「良い実践」から築き上げてきたものです。現在、12か国で50の児童相談所が取り入れているそうです。日本で、本格的に取り入れているのは、さいたま市児童相談所のみで、京都市で検討が進められているようです。

これまで、児童相談所では、児童虐待の発見〜子供の安全確保のために家族から子どもを分離させる入り口の対策に注力していたが、家族へ子供を戻す出口の部分で課題を抱えておりました。また、これまでさいたま市児童相談所で実施してきた「親教育プログラム」から見えてきた課題解決への対策の1つとして、SOSを職員の自主勉強会で取り上げ、導入となった経過のご説明を受けました。

サインズ・オブ・セーフティの支援とは・・・

親と児童相談所が「子どもの安全」について、一緒に取り組んでいく支援。子どもの事を中心に考えて、問題点を親と児童相談所で共有し、親や家族のアイデアも積極的に取り入れたり、たくさんの関係者に関わって頂き、子どもの安全対策を構築していきます。

また、子どもが支援の流れに参加できるようにする取り組みも同時に行います。子どもは、なぜ児童養護施設にいるのか分からない場合が多いとの事。そこで、子どもに状況が分かるように文字や絵を使って説明をします。そして、子どもの気持ちや考えを見える形(絵など)にして親に伝えます。

決まったプログラムがありマニュアルに沿って実施するものではなく、効果のあった事例・実践を蓄積して積み上げていくもので、その点では完成形があるものではありません。しかしながら、具体的な取り組みの中で効果が表れてきています。

サインズ・オブ・セーフティの導入効果は・・・

①職員が「子どもの安全」と「家族の協働」を考える習慣になった事。

②保護者と児童相談所が対立していた事例の関係改善されるようになった事。

③経験の浅い職員でもより良い支援が行えるようになった事。

④職員のプロ意識が向上した事。

⑤チームワークが強化された事。

が挙げられます。SOS手法の導入によって、子どもを巡って親と児童相談所が対立する関係から、”子供のために”との視点で問題点を共有し、解決に向けた具体的な対策を実施できるような関係、を構築できるようになってきているとのご報告に心強さを感じました。

実際の事例をご紹介いただく中で、児童相談所職員の現場状況や生の意見を聴かせていただくことができました。施設にいる子供たちやその親御さんたちの想いに必死で応えていこうと努力されている様子が伝わってきました。

今後の活動に活かしていきたいと思います。ありがとうございました!