学校保護者相談室(学校問題解決支援事業) ~福岡市の取り組み~

市民相談の中には、学校に関する相談も多く寄せられています。担任の先生との関係や教師と保護者のコミュニケーション不足によるもの、学校側の生徒への対応に関するもの等が多くなってきております。そこで、学校保護者相談室を設置し、電話にて保護者から直接相談を受ける取り組みをしている福岡市教育委員会の取り組みを学んで参りました。

福岡市では、学校関係のトラブルの早期解決や教職員の学校・学級運営に専念できる環境づくりの確保等を目的に、学校だけでは対応が困難なトラブルの解決支援を行う、学校問題解決支援事業を実施しています。
 学校問題解決支援事業は、学校や保護者からの様々な相談に対応する「学校保護者相談室」を平成17年度からスタート。学校における諸問題について弁護士から助言を得る「学校問題法律相談」、教育委員会関係者・弁護士・臨床心理士等で構成する会議において対応方針を検討する「学校問題解決支援会議」を平成20年度からスタートさせています。
 設置の背景には、学校に対する保護者からの苦情や意見が増加していること。こうした苦情や意見の中には、過大な要求や法的な判断が必要な問題も増加していること。学校の対応によっては、問題が長期化・複雑化するケースもあること等が挙げられています。
 学校保護者相談室は、2名の相談員(校長OB/臨床心理士:各1名)が中立・公平な立場から、問題解決に向けた助言を行っています。実際に相談窓口業務にあたられている校長OB、臨床心理士の方からも状況のご説明を頂きました。具体的な相談内容としては、担任教師への不満・部活動指導への不満・いじめに関することの相談が多く、全体の70%は匿名での電話相談となっています。

 事業の性質上、明確な結果が得られない案件が多く、事業の効果の検証が課題となっていますが、保護者の満足度向上と教育現場における教師の負担軽減の効果があるものとの担当所管の考えを確認することができました。相談件数は、年々増加しており、27年度は659件の相談が寄せられています。予算的には、人件費で8800千円となっており、相談員の人件費が計上されています。
 本市においては、福岡市で実施している同様の事業はありますが、保護者からの直接的な相談を受ける仕組みは構築されていない状況となっています。多様化する相談に対応するため、生徒・保護者に寄り添った相談体制の構築の観点、現場の教師の負担軽減の観点からも、教育相談体制については、今後も調査を進め提案していきたいと思います。