道路の維持管理について〜まちづくり委員会12月定例会〜
12月定例会のまちづくり委員会では、市民の皆様と密接な関係にある道路の維持管理について以下の項目を質しました。
私が議員となって、多くのご要望を頂く項目の1つである「道路関係の修繕要望」があります。どうしても事後の対応となってしまっていることや区役所窓口と建設事務所との連携の在り方についての問題点、市民の皆様が道路の不具合が原因で怪我をした場合の管理責任などについて質問を行いました。
◆質問項目
1.道路の維持管理について
(1)道路管理者として管理責任の範囲について
(2)損害賠償の対象となる事案について
(3)今後の対策についての検討状況について
(1)道路管理者として管理責任の範囲について
まず、道路修繕要望についての現状を確認。委員会では、区役所と建設事務所は所管が違うため建設事務所に入った件数のみ答弁を頂きました。さいたま市では、道路修繕の要望を受ける窓口が各区に設置されている「暮らし応援室」に寄せられるものも多くありますが、建設事務所で受けた件数では、平成25年度、北部:1485件(西区・北区・大宮区・見沼区・岩槻区)・南部:997件(浦和区・南区・桜区・緑区・中央区)の合計2482件。内容は、舗装修繕418件・道路側溝修繕311件・ガードレール等施設修繕277件・振動などの苦情210件・住宅などの建設後のセットバック部分舗装要望293件・砂利敷き要望180件・その他側溝清掃等793件となっています。
発生源は、市民要望(通報など)、書面による要望、職員・委託業者による道路パトロール、各区役所との連携によるものとなっています。
次に、各区役所と建設事務所の連携については、市民の皆様からの要望を受けた窓口と実際に修繕を行う担当課が異なるケースも多く、要望した修繕が今後どのようになされるのか要望者に連絡がないとの話が多く寄せられているので、もっと連携を密にして要望者に安心してもらえるような体制づくりをしてもらいたいとの立場から質問をさせて頂きました。
また、道路修繕の、区役所と建設事務所の事務分担について確認をさせて頂きました。さいたま市では、修繕費が250万以下の案件は区役所、250万を超える案件は建設事務所となっている。主要幹線道路と生活道路の修繕では、補修の専門性に違いがあるのではないかとの疑問があり取り上げました。これは、「同じ道路の補修を何度も何度も行っている。せっかく補修するのであれば、ある程度の期間は再発しないように補修するべきでないか。また、その方が費用も抑えられるのではないか。」との声が寄せられたからです。
この項目の最後は、道路の不具合による事故件数と実際に損害賠償を支払った件数について確認をしました。平成24年度は、29/40(損害賠償支払/事故件数)、平成25年度は、28/44、平成26年度は11月末現在で、12/35。(但し、示談までに時間がかかる事案もあり、損害賠償支払件数は、過年度分も含む。)となっています。
(2)損害賠償となる事案について
ここでは、市民が道路の管理不全が要因で怪我をした場合、最終的に責任が問われるのはどこになるのか?、どのような事案が損害賠償の対象となったのか?、損害賠償の支払い対象とするか否かの判断は?、基準として明文化されたものがあるか?等について質しました。
答弁では、責任は「さいたま市」であるが、受付窓口は建設事務所の土木管理課で調査をして土木総務課に調査結果をあげて、建設局として対応する。事案については、基本的には本来備えるべき道路の安全性を欠いたことによって事故が発生し、歩行者や車両などに被害が及んだ場合に、道路管理上の瑕疵をさいたま市が認めた場合に過失割合に応じて、さいたま市が道路管理者の責任において賠償する。支払いの対象となるか否かの判断は保険会社の意見を聞いて最終的に市が判断する。明文化された損害賠償の基準はない。との事です。
私は、道路修繕は事故防止のために予防的に行うことが理想であるとの考えをもっています。しかしながら、先にふれたように、実際には道路修繕は事後対応となっているケースがほとんどです。すべての道路を予防的に修繕していくのは、道路の範囲が膨大であることや人員的な問題があるのも事実です。現状では、市民の皆様からの通報によって修繕必要カ所を特定することができ対応している訳です。予防的に行うことが困難な現状では、2つの視点が重要となると思っています。一つは、市民の皆様から通報してもらう環境を整備すること。もう一つは、そうした通報に対して迅速に対応していくことです。限られた予算の中で、効果的・効率的な修繕を実施していく必要があることからすべての要望箇所を迅速に修繕できない場合もありますが、やはり要望者に感謝の気持ちを持って連絡を適宜行うことが大事ではないかとの気持ちから質問をしました。また、事故対応の担当と修繕の担当との連携を深め、適切な修繕をしていかないと事故が発生するとの危機感をもって道路管理者として修繕業務を行ってほしいと思います。
(3)今後の対策についての検討状況について
ここでは、予防的な側面では、地域に暮らす市民の方が一番に道路状況をよく知っているので、より通報・連絡を受けやすい仕組みが必要ではないか?との観点から千葉市で実施しているスマートフォンのアプリを使って通報ができる通称「ちばレポ」の事例を提案し、どのような改善策を検討しているか?
道路修繕の在り方については、大きな車が頻繁に通行する道路や交通量の多い道路の修繕では、路盤の厚さや仕上げの方法など修繕を繰り返すことがないように専門性を求められ、逆に簡易な穴の補修などは、対応の速効性を優先して修繕を行わなければならない場合もある。つまり、修繕にあたって、専門性を優先するべき性質のものと速効性を優先するべき性質のものがあるとの観点から、建設事務所と区役所が、市民ニーズに応えて有機的に実施していくことが重要との考えを伝え、区役所との連携強化に向けての今後の取り組みについて伺いました。
通報・連絡を受けやすい仕組みについては、今後「ちばレポ」などの先進的な取り組み情報を調査・研究していきたい。これまでの取り組みとしては、さいたま市独自で郵便局と連携して道路の損傷個所について、配達員に情報提供者協力カードを配布して情報提供をしてもらう取り組みを行っている。との答弁がありました。私からは、郵便局との連携はよい取り組みなので今後も推進してほしいことと、期間を決めて集中的に情報提供をしてもらった方がたくさん情報がもらえるのではないかと提案しました。
区役所と建設事務所との連携強化は、更に市民のために推進していきたいと思っているとの事でした。
※質疑の詳細については、さいたま市議会の議事録でご確認くださいませ。