「年金未納者が増えると破たんする。」は本当か?

2/27の衆議院予算委員会に、参考人として出席した細野真宏氏(厚生労働省・社会保障の教育推進に関する検討会委員)は、意見陳述で概要、以下のように述べられております。

社会保障は、世の中の常識と実際では乖離が大きい。「未納が増えると年金が破綻する」という話がそうだ。これほどの「引っかけ問題」はない。今の年金制度は、仕送り制度だから、子供が減って高齢者が増えれば当然、持たない。その中で未納者が増えるのだから、破綻に向かうのは当然だという論だ。だが、未納が増えても年金財政には影響がない。

しかし、年金未納は別の意味で重要な問題がある。国民全員に共通する基礎年金は、半分が税金だ。年金未納者には、所得がある未納の人と所得がない未納の人に分けられる。

所得があるのに年金未納の人は、一言でいえば「税金の払い損」だ。年金に必要な税金は支払っているが、保険料を払わないのは、将来、年金をもらえる権利を放棄しているということだ。一方、所得がなくて払えない人は、保険料の免除制度がある。これを活用することで、将来、少なくとも税金分の年金はもらえるようになる。

年金は、誤解や間違いが生まれやすい世界だ。「年金未納者は損である」ことの広報活動を徹底し、未納者ゼロキャンペーンを打ち出すことが大事。

今の制度にも問題はある。派遣労働者などは本来、会社員と同じように働いているので、厚生年金に入るはずだが、国民年金に追いやられている。2007年4月に、被用者年金一元化法案が提出されたが、当時野党であった民主党の反対にあって廃案となった。これでは、いつまでも弱者は救われない。

私自身も、年金や社会保障のご相談を沢山頂いております。消費税と社会保障(年金、医療、介護等)の問題が、連日のように報道されておりますが、政局に偏った報道が目に余ります。いたずらに国民の不安を煽るのではなく、何が問題となっているのか。どんな議論がされているのか。など、本質的な部分での情報を伝えてもらいたい。たとえ、複雑な内容であっても、正確に分かり易く伝えていくことが、報道機関の役割であり使命であると思います!