不活化ポリオワクチンが承認されました。
ワクチン接種によるポリオ発症の危険性のない不活化ポリオワクチンが承認されました。2012年9月から、生ワクチンに替わり定期予防接種で使用されることになりました。
ポリオ(急性灰白髄炎)は、強い感染力を持ち神経を侵すポリオウイルスが原因で発症します。ウイルスは腸管内で増殖し、倦怠感や頭痛、吐き気など風邪に似た症状が現れます。多くの場合は、軽度で回復しますが0.1%の割合で手足にマヒが現れ、重度の場合には死亡するケースもあります。主に、5歳未満の小児が感染するので、小児マヒと言われています。
1961年に大流行し、6000人以上の方が感染したと考えられています。その後、海外から輸入された生ワクチン接種によって激減したことから、1964年から定期予防接種が始まり、1981年以降は野生のウイルスによる感染報告はないとのことです。
その後の日本でのマヒの発症は、残念ながら生ワクチン接種による症例となっています。生ワクチンは、ポリオウイルスの病原菌を弱めて作ったもので、70万人〜100万人に一人の割合でポリオに感染したときと同じ症状がでてきます。
不活化ワクチンは、感染力を無くしてつくっているため、接種しても発症することはありません。日本以外の諸外国では10年くらい前から不活化ワクチンに切り替わっています。
ここ数年、生ワクチンによる発症を避けるため、ワクチン接種をためらったり、不活化ワクチンの個人輸入による接種を受ける人が増えてきておりました。しかしながら日本では、不活化ワクチンが承認されていなかったことから、不活化ワクチンによる健康被害が起きた場合に国の補償がなく、費用も2万円程度を自己負担しなければならない現状でした。
こうした事態を受け、2002年4月、坂口力(当時厚労相:公明党)が生ワクチン接種から不活化ワクチン接種へ切り替えたいとする意向を初めて示し、2011年3月以降、古谷衆議院議員(公明党)が8回にわたり不活化ワクチンの早期導入を訴えておりました。
不活化ワクチンの承認によって、定期予防接種が本年9月より、「飲む生ワクチン」から、「注射する不活化ワクチン」へ切り替わることになります。さらに、11月からは3種混合に不活化ポリオワクチンを加えた4種混合ワクチンの接種が始まる予定とのことです。
さいたま市では、昨年の3月より子宮頸がん、小児用肺炎球菌、ヒブワクチンの3種類のワクチンを全額公費助成によって接種できるようになりました。ワクチンで予防できる病気は、しっかりと防ぐことが大切です。未来を担っていく子供たちの大切な「命を守る」ため、世界と比較して遅れている様々な予防接種事業を推進していけるよう、これからも頑張って参ります。