埼玉県市議会第5区議長会議員研修会

11/5、埼玉県市議会第5区議長会議員研修会に参加させて頂きました。「自治体における災害対応業務を考える」というテーマで、富士常葉大学、重川教授の講演を聞いて参りました。

昨年3.11に発災した東日本大震災を教訓として、多くの事例を交えながらの講演は大変に興味深く、今後の防災対策を考える上で大変に勉強になりました。

特に印象的だったのは、自治体における災害対応の課題と対策について考えていく部分です。災害発災後の自治体の対応業務を大別すると、①生命・財産を守るための「災害緊急対策」、②被災者の生活を維持するための「災害応急対策」、③生活再建・復興対策として「災害復旧・復興対策」に分かれます。

特に、発災後の3日間は①がメインとなりますが、マスコミ対応や救援物資の受け入れ、情報収集や県への報告などに忙殺され、本来やるべき業務が全く手につかない状況があったこと。そして、③の部分で、被災者の被害程度(具体的には住宅被害の程度)によって、その後の生活再建資金に大きな差異が生じること、その後の生活再建支援は、住宅被害の程度を調査し「り災証明書」が必要となるが、全島調査が求められ業務量・質ともに膨大な業務が発生し、その業務が特定の部局に集中する傾向があること。など数多くの問題点を指摘してくださいました。

こうした問題点を踏まえ、自治体が災害に備えるためには、災害後のプロセスを理解すること。自らの役割を認識すること。具体的な業務手順を理解すること。情報処理システムの準備をすること。資源の配置計画をたてること。が重要となってきます。

東日本大震災では、迅速な消防、警察、自衛隊、国交省などが組織的広域応援体制が整い大きな役割を果たしました。これは、事前に法制度で位置づけがなされていたことによって、詳細な活動計画や派遣職員の登録、組織化が図られ、派遣手順や指揮系統が決められており、階層に応じて業務権限が明確であること、そして現場に権限が委譲され、現場レベルで組織間の情報の共有がなされていたと分析されています。

自治体などによる組織的な人的支援の良かった点は、現在でも継続していることによって多くのことを経験していること。(災害後のプロセスなど)問題点としては、派遣までに1週間から10日と時間がかかったことを挙げられておりました。

講演の後の質疑の中で、地域防災計画は各自治体で作成中または作成あれているが、この防災計画は行政のみではなく、市民・事業者などまさに地域を構成するすべての人が対象となっているので、内容を見直すことも大事であるが作成した計画を広く周知していくことに力を注いでいくことが、とても大事であることを話してくださいました。今回の講演を糧に、本市での防災対策を推進していこうと決意致しました。