防災・減災対策の推進を!

 本年3月で、東日本大震災から10年となり大きな節目を迎えます。改めて、震災によって犠牲になられました全てに皆様に謹んで哀悼の意を表します。激甚化・頻発化する自然災害から市民の命と暮らしを守ることは、政治の使命と責任と考え、防災・減災対策について質しました。

国の「防災・減災、国土強靭化のための加速化対策」連動した防災・減災対策について

Q:公立小中学校施設の防災機能強化対策では、特別教室、体育館への空調設置、トイレの洋式化、バリアフリー化への支援が掲げられ、体育館の空調設置は、5年後の令和7年度の達成目標として35%の設置率としている。また、トイレの洋式化・学校施設のバリアフリー化は、これまでの目標を大きく前倒しして、令和7年度までにほぼ完了するとされている。本市においても、この5年間で一気に公立学校の防災機能の強化を図るべきと考えるがどうか?

【答弁要旨】避難所となっている小中学校の防災機能の強化は重要な課題と認識しており、体育館への空調設置につきましては、令和3年度から全ての中学校へ計画的に設置を進めて参りたい。小学校の体育館及び特別教室の空調機の整備については、普通教室の老朽化した空調機の更新と併せて、整備手法や財政負担の平準化方策等について、庁内の合意形成を得たうえで計画的に進めていきたい。

さいたま市立浦和高等学校に設置された学校体育館空調設置を視察

 Q:流域治水対策(河川・下水道) では、台風・豪雨災害が激甚化・頻発化する中、水災害への備えとしてハード面の整備を急ピッチで進めていかなければならない。荒川第2・第3調整池等、国や県と連携しながら進める事業の他、浸水被害の発生による被害箇所への個別対策として、河川整備や調整池の設置、雨水貯留管の整備のスピードアップを期待しているが、今後の対応はどうか?

【答弁要旨】河川の改修や貯留施設などのハード整備は多額の費用と時間が必要となる。「防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策」における交付金を活用し、着実に治水対策を進める。また、整備効果が早期に実現できるよう、地域特性を踏まえた効果的な対策を進める。

Q:防災公園機能確保に関する対策では、災害発生時の避難地、防災拠点としての機能を確保するために整備が必要となる防災公園(約160か所)に対して、5年後の令和7年度までに80%、全体では達成年次を前倒しして令和9年度までに整備するとしている。 本市では、災害時に首都圏の広域防災・医療拠点となる(仮)セントラルパークの整備が進められているところであるが、今後の対応はどうか?

【答弁要旨】(仮)さいたまセントラルパークは、整備年度の関係により本事業の対象外となる。進捗状況としては、昨年10月に農業振興地域整備計画の変更手続きが完了した段階であり、来年度の都市計画決定を目指している。さいたま新都心公園との連携により広域防災機能を補完する(仮)さいたまセントラルパーク次期整備計画の早期事業化に向けて積極的に取組みを進める。

新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害対応について

Q:コロナ禍にあっても、激甚化・頻発化する風水害や巨大地震への対策は、待ったなしの状況である。特に、災害時には多くの人が、避難所に押し寄せることも想定される。内閣府では、昨年6月に「新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害対応のポイント【第1版】」を発表しており、避難所が過密にならないような取組み、自宅療養者の避難の在り方の検討、避難所内での感染防止策、避難者が発症した場合の対応など、有事に備えた準備が必要となる。また、避難所の衛生環境を確保するため、必要となる備蓄品の装備も重要であるが、本市の対応状況、並びに今後の取組み方針は?

【答弁要旨】コロナ禍における大規模災害の発生に備え避難所における過密状態を防ぐ取組みを進めている。発災直後から二次避難所に受け入れができるよう常備するほか、全ての避難所において可能な限り避難スペースを使用し、避難者同士の距離を確保することにしている。避難所を円滑に運営できるよう、チェックシートを用いた健康状態の確認、感染の疑いのある方の専用スペースの確保などを定めたマニュアルを作成し、担当職員・自主防災組織に周知している。また、マスク、消毒液、パーテーション等の感染防止物資を避難所の防災倉庫へ配備している。

防災アプリの導入について

Q:ハザードマップや避難所の開設状況、被災状況等、災害時に必要な情報を迅速かつ的確に市民に情報提供していくことは、迅速な避難行動に繋がり被害を最小限に食い止め、市民の命を守る取組みとして、大変に重要であるとの観点から、会派ではプロジェクトチームを立ち上げ調査研究を進め、これまでスマートフォンアプリを使った防災アプリの導入事例である札幌市の「そなえ」等を取り上げ、防災アプリの導入を提案してきた。 新年度の予算案で、防災アプリ構築事業として事業化されたことを評価している。導入の目的・機能・提供する内容等、事業の全体像は?

【答弁要旨】導入目的については、スマ―トフォンのアプリケーションで1つに纏めることにより、より分かり易く防災情報を伝達することが可能となる。機能提供する内容については、現段階の検討状況として平時から確認できる機能として「ハザードマップ」「防災ガイドブック」、災害時に確認できる機能として「避難場所」「避難情報」を想定している。災害時に通信が混雑した状況でも確認できるよう、一度情報を端末に保存することでオフライン環境でも閲覧できる機能の導入も考えている。アプリ化をすることで、市民の方々が平時・災害時に防災情報を確実に取得して頂き、迅速な避難に繋げ大切な命を守って頂きたいと考えている。

気象観測システム・気象人材を活用した防災対策について

Q:近年、局地的豪雨など天候の急変が全国各地で頻発している状況を考えると、自治体内の降雨状況を、網羅的かつ迅速に把握しなければ、的確な避難情報を提供することが困難となる。雨量情報をピンポイントかつリアルタイムで収集できる最新の「気象観測システム」を導入し、河川や浸水被害箇所等の情報をキャッチし、急激な水位情報を事前に予測することで、先手を打った避難対策が可能となると考えるが、最新の気象観測システムの導入について、見解は?また、気象防災アドバイザーを活用し防災力の強化を図っていくべきと考えますが、見解は?

【答弁要旨】本市では、気象庁で設置している雨量計のほか、独自に市内11か所に雨量計を設置し、ピンポイントかつリアルタイムで把握する仕組みを構築している。また、株式会社ウェザーニューズが提供する気象システムを導入しており、防災対策に活用している。気象防災アドバイザーの活用については、現在、熊谷地方気象台とホットラインを構築しており、専門的な知見に基づく情報提供を受けることが可能となっている。