「年金は若者が損をする。」は本当か?

現行の公的年金制度では、厚生年金は支払った保険料の約2.3倍、国民年金は1.5倍以上受け取ることができます。その意味で、若者が老後の生活資金として蓄える「貯蓄」として信頼できる保険商品と考えることができます。

もし、交通事故などで障がいを負った場合には、家族やパートナーなどに重い経済的負担が掛かりますが、保険料の支払いや加入手続きを行っていれば、「障害基礎年金」を受けることができます。障害基礎年金は、障がいを負うまでの加入期間のうち、2/3以上の保険料を納めるなど、一定の要件を満たせば支給されます。万が一亡くなった場合でも「遺族基礎年金」が遺族(子のある妻または子)に支給されます。

公的年金には、民間の保険商品にはない、上記のような特典がついていると考えることもできます。

それでは何故、表題のような誤解が生じているのでしょうか?

厚生労働省によると、厚生年金の場合、今の72歳が受け取る年金額は保険料の6.5倍、上記の例である32歳は2.3倍と試算しています。どの世代も保険料を上回る年金を受け取ることができるのです。それは、保険料に加えて税金を財源に組み入れている公的年金だからできることであり、積立金を活用して若年層に上積みすることで、こうした給付が可能となっています。

こうした、世代間で受け取る倍数が違うことによって「若者は損だ」と、一部の経済学者が主張したことが誤解を生みだしている原因ではないでしょうか?

「世代間格差」だけを見て、今の年金制度を否定する考え方は間違っております。